映えを求めてひとりでプリクラを撮ってみた。

私には、今を生きる女子高生として致命的に足りないものがあった。

 

そう、写真である。

スマホでの自撮り、他撮りにプリクラ。その全てをほぼ経験したことがないため、「いちばん盛れる角度は〜」とか「この写真アプリめっちゃいいよ!」とか「放課後プリ行こうよ〜!」なんて会話ができるわけもない。クラスメイトの会話についていけない。

つまり、浮いている。ぼっちだ。

……………………いやだ、もうこんな惨めな思いはしたくない!!!!!!!

そう強く思った私は、ある場所に向かった。
f:id:ashibebe_n:20200329202552j:image

キラキラした女子グループで溢れかえる、ゲームセンターのプリクラコーナー。

私は一人でそこに立っていた。本当は友人を誘って「盛れ」について指導してもらおうと思っていたのだが、誰とも都合が合わなかった。別に友達がいないわけではない。

…………恐らく、並の女子高生よりはるかに少ないが。

 

コーナーの最奥にあった人気のない筐体を選び、400円を入れる。ひとりで支払う額にしては高すぎる。この400円があれば、ハーゲンダッツが買えるのに。

料金を投入すると、「あなたたちは何人?」みたいな音声と共にタッチパネルに人数選択のボタンが現れた。選択肢は、2人から8人。

わかっていた。ひとりでプリクラとる人間なんて滅多にいないんだ。そう思うと虚しさがこみ上げてきた。周りからの目が気になって仕方ない。早く、早く帰らせてくれ。そう思いながら、仕方なく2人を選択した。私は、幽霊とプリクラを撮るんだ。
f:id:ashibebe_n:20200330101029j:image

撮影ブースに入ると、立ち位置のアナウンスが流れ出した。どうせひとりだしど真ん中に仁王立ちしてやろうかと思ったが、指示に従うことにした。

撮影が始まった。指示されるポーズは全て2人用なので、悲しいほどに空白が目立つ。恥ずかしい。

しまいには「猫の手でニャンニャン♪」なんてことを言い出した。殺すぞ?

もう指示に従ってポーズを取ることも盛れについて考える気力も失せてしまった。

撮影を終え、落書きも雑に済ませ、出来上がりを待つ。

…………ああ、この時間がいちばん辛い。早く帰らせて……………………とばかり思っていた。

 

そして出来上がった写真がこちら。

f:id:ashibebe_n:20200329202600j:image
完全なる虚無の塊。当初の目的は消え失せ、罰ゲームを受けたような気持ちだ。誰か、誰か助けてくれ…………。

 

虚しさに打ち勝つ自信のある方はぜひやってみてください。私はもう二度とやりたくありません。